夏目漱石 『夢十夜』 読書会のもよう

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2016.10.8に行った夏目漱石の『夢十夜』 読書会のもようです。

読書感想文を書きました。

 

『夢十夜』のテキストはこちら

 

『盲目と墓石』

夏目漱石の『夢十夜』の『第三夜』は、こういう話だ。

 

男が、6つになる子どもを背負っている。
その子どもに指示されて、夜道を歩くと、杉の木の根の下にたどりつく。

 

男はそこで、自分の背負っている盲目の子どもが、
100年前に自分が殺した盲目の男の生まれ変わりだと気づく
すると背中の子が石地蔵のように重くなるのである。

こんな怪談じみた話である。

 

この話の親と子どもの関係は、『こころ』の先生とKの関係に似ている。

 

私は又ああ失策(しま)ったと思いました。もう取り返しが付かないという黒い光が、私の未来を貫いて、一瞬間に私の前に横(よこた)わる全生涯を物凄く照らしました。そうして私はがたがた顫(ふる)え出したのです。

『こころ』 下 48

只脊中に小さな小僧が食付(くつつ)いていて、その小僧が自分の過去、現在、未来を悉(ことごと)く照して寸分の事実も洩らさない鏡の様に光っている。しかもそれが自分の子である。そうして盲目(めくら)である。自分は堪らなくなった。

『夢十夜 第三夜』

 

この文章には 主人公が、逃れられない罪を認知するという共通のテーマが伺える。
『こころ』ではKは雑司が谷の墓石になっていたが、

一方、『夢十夜』では、盲目の子どもは石地蔵に喩えられている。

 

盲目と墓石にまつわる悲劇である。

 

『夢十夜』には、その後の漱石の作品のライトモチーフがたくさん詰まっている。

(おわり)

読書会のようすを録音しました。

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