夏目漱石『三四郎』読書会のもよう(2017 4 28)

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2017.4.28に行った夏目漱石の『三四郎』のツイキャス読書会のもようです。

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私も書きました。

『それ程浪漫的な人間じゃない。僕は君よりも散文的に出来ている。』

よし子は、兄である野々宮さんにわがままで困らせる。野々宮さんは、そんなよし子を愚物扱いしながらも、十分に、甘やかしている。彼がマッド・サイエンティストであれば、よし子のことなど一顧だにしないであろうが、そうではない。結局、兄は、妹を猫可愛がりして、妹は兄を、深く尊敬している。

そんな告白を、よし子から聴かされて、三四郎は、

これしきの女の言う事を、明瞭に批評し得ないのは、男児として腑甲斐ない事だと、いたく赤面した。同時に、東京の女学生は決して馬鹿にできないものだと云う事を悟った。(第五章)

のである。

美禰子は、野々宮さんと同級の兄、恭助と二人暮らしだ、広田先生と同級生だった兄、そして両親までも他界している。早くに悲しい別れを経験した気の毒な身の上である。三四郎と同い年だから23歳。美禰子は、唐突によし子の見合い相手と結婚してしまった。野々宮さんは、結婚する気がなかった。彼は、美禰子に、少なからず気があったのだろう。美禰子は、三四郎に耳打ちするふりをして、野々宮さんを試したこともあった。しかし、野々宮さんは、美禰子を選ばなかった。美禰子は、『責任を逃れたがる人だから』と野々宮さんを遠回しに非難した。野々宮さんはよし子が片付かなければ、結婚する気はなかったのだと思う。その意味で、よし子が縁談を断ったことは、美禰子と野々宮の関係に決定的な影響を与えた。よし子のお陰で、三四郎は、美禰子に弄ばれた。ダシに使われただけであるが、美禰子も、それは申し訳なく思っている。『われは我が咎を知る。我が罪は常に我が前にあり』 彼女が三四郎に思わせぶりを発揮したのは罪つくりだ。三四郎は美禰子に恋していたし、美禰子は野々宮さんに恋していた。ひょっとしたら、よし子は、三四郎が好きだったかもしれない。この三角関係にはズレがあった。この現象を明瞭に批評しえたら、三四郎は恋に落ちないだろう。広田先生は、明瞭に批評しうる。だから結婚しない。

(おわり)

読書会の模様を録音しました。

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