夏目漱石『二百十日』読書会のもよう(2017.2.11)

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阿蘇を旅した圭さんと碌さんの会話ですすむ小説。落語の台本のようだった。圭さんというのは『坊っちゃん』ように、無鉄砲で真っ直ぐな人物として描かれている。夏目漱石の作品を続けて読んでいくと気がつくが、二人の道中は、『こころ』の先生とKが房総半島を旅したシーンとよく似ている。圭さんは豆腐屋主義を標榜している。藩閥政治や資本家、華族を攻撃しているところを見ると、圭さんは、明治末期の社会主義に影響を受けたと思わしい。漱石の作品に出てくる社会主義者といえば、『明暗』の小林というやたらに暗い人物がいる。あるいは『それから』に登場する、ロシア文学に傾倒する、売れない作家、寺尾が思い出される。しかし、圭さんの豆腐屋主義というのは、社会批判というよりも、もっぱら精神的なものなので、単純な勧善懲悪にみえる。むしろ、彼の浮世離れした頑固さは、困窮しながら、哲学や宗教に精神的な救いを求めた『こころ』のKに似ている気がした。ちょうど、読み方も同じだ。

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