司馬遼太郎『花神』読書会のもよう(2019 3 1)

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2019.3.1に行った司馬遼太郎『花神』読書会のもようです。

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私も書きました。

 『技術は道のために』

 

「洪庵先生のご一生がそうであったように、技術は道のために用いられるべきもので、おのれの栄達のために用いるべきものではない。」

『花神』 下巻 『長門の国』

 

大村益次郎は、日本の科学技術官僚(テクノクラート)の元祖である。オランダ式医学を学ぶなかで、近代化とは何か、近代人とは何かを学び、率先して、まずは自分自身を西欧近代人に改造していった。

近代人の彼の楽しみは、股ぐらで燗するキ○タマ酒と、豆腐一丁での晩酌。趣味は1両以内でかえる骨董品の蒐集。残りの人生は、すべて維新政府の確立の地ならしに捧げた。

急激な近代化と、それに続く帝国主義化というのは、民族資本の極度の集中が必要だ。その過程では、労働者や女性や社会的弱者が、割を食う。大英帝国が、アイルランド、インド、南アフリカ、中国などからの過酷な搾取によって繁栄したように、維新政府も民族資本を蓄積して近代化するために、各方面にずいぶん血と汗の代償を強いている。『花神』を読むとそれがわかる。緒方洪庵先生も、無理して幕府に仕え、寿命を縮めた。大村益次郎を支えた、イネもお琴も、けっして幸せな人生ではなかった。また、幕府を末端で支えた武士が、一番凄惨な死を遂げている。

上野公園の西郷さんの像のあたりが寛永寺の黒門である。大村益次郎は、黒門から応戦する彰義隊に、当時最強の兵器だったアームスストロング砲を撃ち込んで、勝負を決めた。だったら、開戦と同時に、さっさと撃ってしまえばいいのに、ギリギリまで撃たなかったのは、なぜか? 技術での圧倒は、所詮は、戦術であって、戦略としてはマイナスと判断したからだろう。勝ち続けるためには、味方の組織をまず統治しなければならない。技術で楽をして勝てば、組織の統治がゆるむ。結果として、統治が破綻する。

技術は、それを駆使する人間が、自己を律することができるという条件のもとで、戦略にとって有効な手段となる。技術だけに耽る者は、統治の崩壊が潮のように磯から満ちてくるのに気づかない。

(おわり)

読書会のもようです。

 

  • 2019 05.09
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