ドストエフスキー『罪と罰』読書会のもよう(2018 10 26)

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2018.10.26に行ったドストエフスキー『罪と罰』読書会のもようです。

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私も書きました。

《トランプのアメリカが乗り超える否定の壁》

エベレストの無酸素単独登頂に挑戦して、亡くなった登山家がいる。私は、彼の活動支援を募る有志による彼の講演企画への誘いをFacebookで目にした。

その登山家は『否定の壁を超えたい』とインタヴューで語っていた。

彼の登山体験をライブストリームで共有することで、一体感を味わい、《感動をありがとう》というコメントともに、シンパもアンチも無事下山でカタルシスを感じるようなイベントだったようだ。

《やってみた》企画である。見世物とさしてかわらない。個人の無謀が、自己啓発の装いでイベント化されている。芸能人がヒッチハイクで大陸横断とか、100キロチャリティマラソンに近いノリだ。ただ、常識人は、TVの企画は、スポンサーありきで、ギャラが発生していて、リアリティ番組にはヤラセが付き物もあるというのは、薄々知っている。

他のプロ登山家から『プロ下山家』と揶揄され、実力不足を指摘されていた彼は、結局、エベレストの中腹で遭難して亡くなった。どうやら単独ではなかったらしい。

ラスコーリニコフは、六畳一間のボロアパートで何かになろうとして暗い情念を育てた。『一つの殺人は百の善行で償われる』という独善的な思想が芽吹き、毒キノコのように育ち、金貸しの老婆を斧で殺して、金を奪うという強盗殺人として結実した。ソーニャに出会わなければ、彼は同じような殺人を何度も繰り返しただろう。目の前の一人との大切な絆より、カンパしてくれた不特定との善意の関係が重要なら、その善意を正当化するために、ずっと殺し続けたはずだ。否定の壁を超えるためには、まず独善的な思想に則って、自分を殺すことからはじめなければならない。

『否定の壁を超える』ことよりも、自分自身の足元を踏み外さない常識のほうがよっぽど大切だ。自分自身でいられないから、無謀な企画をたてる。周囲が呆れて、大切な目の前の人から見放されるだろう。自己欺瞞が肥大すると、半ば自殺のように非常識に突進していくのだ。

エベレストという自然が相手だったから、まだしも、非常識に理屈をつけて、他人のモラルの混乱を弄ぶ世界が、自由主義市場経済からなる覇権国アメリカであり、それを率いるのはスヴィドリガイロフ的人物トランプ大統領である。彼は、目下、2000兆円の財政赤字という財政の壁=否定の壁を非常識によって乗り超えようとしている。

自分をうまく騙せるものが誰より楽しく暮らせる国、アメリカ。スヴィドリガイロフもアメリカを夢みてピストル自殺した。

 

(おわり)

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  • 2019 02.07
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