さて、長野市での読書会も月一回になってしまいましたが、
今回は、夏目漱石の『明暗』で読書会を行いました。(2016.7.9)
『明暗』の主人公は津田という男性です。
『それから』の代助によく似た高等遊民のような男です。
彼は、清子と結婚する予定だったのですが
原因がわからないまま婚約を破棄して
延子という女性と結婚します。
この夫婦は、浪費癖がエスカレートして経済的に苦境に陥り、
親族を巻き込んで、軋轢が生じるというのが主なストーリーです。
津田が清子と再会して、さて、盛り上がるゾ、というところで、
漱石が亡くなってしまったため、残念ながら未完です。
文庫本で600ページくらいあります。
完成すれば1200ページくらいになっていた予定だそうです。
この作品のキーパーソンである清子という名前について
私が気づいたことがあります。
漱石の奥さんの夏目鏡子の本名はキヨで、
『坊っちゃん』の坊っちゃんを愛したのも清。
こうやって「キヨ」という名前をめぐって円環ができていて、
漱石の作品の大切な女性の名前は、
だいたい奥さんの名前からとっていたということです。
愛妻家だったんでしょうか?
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