村上春樹『アフターダーク』読書会(2018 8 31)

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2018.8.31に行った村上春樹さんの『アフターダーク』読書会のもようです。

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『深海の生物たち』

 

『深海の生物たち』というドキュメンタリー番組だ。音声は消されている。彼はヨーグルトを口に運びながら、無表情にテレビの画面の動きを追っている。しかし彼の頭はそれとは違うことを考えている。論理と作用の相関関係について思考を巡らせている。論理が作用を派生的にもたらすのか、あるいは作用が論理を結果的にもたらすのか? 彼の目はテレビの画面を追っているが、本当は画面の遥か奥にあるものを見ている。P.227

 

タワーマンションに住んで、熱帯魚を飼ったり、深海魚のビデオを見入ったりするのは、都市生活特有の現象だと思う。論理と作用の相関関係を突き詰めるような頭脳労働をしていれば、何も考えないで泳いでいるような魚たちに癒やされるのかもしれない。人が深海魚のようなものから徐々に進化したとすれば、かつてそうだった自分を振り返るような、なつかしさでもって魚を眺めるだろう。

8月31日の午前2時半頃、奈良県で3台のバイクに乗った8人の男女が、信号無視をしたあと、高架橋の道路上に倒れていたという。朝のニュースで報じられていた。彼らに内部で何が起こったのか? 大事故で、6名の若者の命がつゆと消えた。

 

結局のところ、すべては手の届かない、深い裂け目のような場所で繰り広げられていたことなのだ。真夜中から空が白むまでの時間、そのような場所がどこかにこっそり暗黒の入り口を開く。そこには私たちの原理が何ひとつ効力を持たない場所だ。いつどこでその深淵が人を呑み込んでゆくのか、いつどこで吐き出してくれるのか、誰にも予見することはできない。P.260

 

檀一雄の『花筐』。夜光虫の光る海を沖まで泳いで戻ってきたら、鵜飼の前からは、みんないなくなっていた。

8月31日。今年の夏も、今日で終わりだ。裂け目に落ちていくものは他人事ではない。私の中にも白川の残酷さは、確実にあり、暴走する無軌道さも、かつての自分の中に感じたものだ。壊れた魂の救済。なんやの、それ。わからへん。アイロニーだけが残されている。

(おわり)

読書会の模様です。

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  • 2018 11.17
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