
2017.10.6に行った柳田国男『山の人生』読書会のもようです。
私も書きました。
「山の人生」
長野県の北の方、新潟との県境に妙高市がある。『山の人生』にも触れられているが、ここに山男が出るという。私も、勤め人だった頃よく先輩に誘われて、アパグループのやっている妙高のゴルフ場に行った。ゴルフの帰りに、ミューミサというラーメン屋が連れてってもらった。ドライブイン(死語)っぽい昭和な佇まいで、70年台にタイムスリップした気分になる。玉ねぎとニンニクたっぷりの甘い感じの味噌ラーメンだ。胃が元気でないと食べられないラーメンだと思った。好きな人は好きだと思う。山の食べ物といった感じだ。
私は山国の出身なので、山が見えないと落ち着かない。しかし、山に行くことはほとんどない。人混みが苦手で、街なかを歩くと2時間くらいで、家に帰りたくなる。かといって山が好きなわけでもない。部屋で本を読んでいるのが好きな人間なので、仕方ない。
山男みたいな人は、実際いるし、山で暮らしている限り、山男みたいに生きていけるような部分があると思う。自然の多いところに住んでいる人は、ストーカーになりにくいというのを、ストーカーについての新書で読んだ。『人間の力の及ばないもの』を指すというのが、欧米の『自然』である。逆に言えば、都会は、人間の嘘でできている。不自然極まりない生活なのである。
私はどうも、バカ正直なところがあって、気持ちが表情や声にすぐ出てしまう。ダメだなあと思うのだが、すでに手遅れで、治しようがない気がして、諦めている。いつか飯綱に山小屋を買って、立派な書斎をこさえて、独りで暮らしたい。そして、100歳すぎるまで生きて、死を悟ったら、静かに冬山に入山して、人知れず、生まれる以前の状態に戻りたいと思っている。
焚き火にあたって、なにか牛のいばふ如く話す山男。山に硫黄を取りに行って、山男に首をねじ切られて死んだ男の話。これはいずれも妙高の話だった。
私の山小屋には、きっと山男が訪ねてきてくれるような気がする。意外に気が合うような気もする。
(おわり)
読書会のもようです。