ドストエフスキー『罪と罰』読書会(2017 8 4) のもよう

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2017.8.4に行ったドストエフスキー『罪と罰』読書会のもようです。

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私も書きました。

『新しい旋毛虫』

それは、人体にとりつく微生物で、新しい旋毛虫のようなものだった。しかもこれらの微生物は知恵と意志を与えられた魔性だった。これらにとりつかれた人々は、たちまち凶暴な狂人になった。しかも感染すると、かつて人々が一度も決して抱いたことがないほどの強烈な自信をもって、自分は聡明で、自分の信念は正しいと思い込むようになるのである。(新潮文庫版 下 エピローグ P593)

 現在の青年にも多数のラスコーリニコフがいる。相模原で重度障害者を19人殺したUも、頭に虫が入っている。

 凶暴な狂人でしかないUがてめえの勝手な理論で殺人を正当化する姿は、メディアに流れる度に、視聴者の頭の中に旋毛虫の卵を植えつけているようなもので、不愉快である。

 強烈な自信をもって、自己正当化を繰り返すナルシストの頭には、Uと同じ種類の旋毛虫が這いずり回っている。テレビを観ていると、そんな奴ばかり出ている。

 しかし、旋毛虫の危険性を説明するのは難しい。誰もが多かれ少なかれ、すでに、旋毛虫に感染しているからだ。

 ドストエフスキーは、政治思想や宗教が、旋毛虫のように荒れ狂い、自己正当化というかたちで人間を食い尽くしていくさまを執拗に描いている。

 私は一理というのは、危険だと思う。詭弁にも一理あるかも、と共感すると、そこから旋毛虫が入り込んでくる。また、ナルシシズムやサディズムとマゾヒズムというのは旋毛虫の温床である。マルメラードフは、ソーニャが売春で稼いだ金で酒を飲んで管を巻いていた。スヴィドリガイロフは、人の虚栄心をくすぐって近づき、やがて相手の弱みを握り、人格を支配してなぶりものにすることで生きてきた。自殺のように死んだ彼らも、結局は、旋毛虫に食い尽くされていったのだ。

 人間こそが、この大地の皮膚にはびこる病だ、とニーチェは、ツァラトゥストラに言わせている。

 『大地に接吻しなさい。だってあなたは、大地に対して罪を犯したんですもの』とソーニャは言った。

(おわり)

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