綿矢りさ 『勝手にふるえてろ』ツイキャス読書会のもよう(2016.12.2)

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2016.12.2に行ったツイキャス読書会のもようです

課題図書は、綿矢りささんの『勝手にふるえてろ』でした。

メルマガ読者さんからいただいた、800字の感想文はこちらです。

多くの方にご参加いただきました。

感想文PDF

私も書きました。

『恋✕絶滅÷勇気=愛』

期待するには若さが要る、追憶するには若さが要る、しかし反復を欲するときには勇気がいる。期待のみを欲するのは卑怯である。追憶ばかり欲するのはみだらである。しかし反復を欲するものは男である。
                           キルケゴール『反復』岩波文庫

 

「イチ」は、追憶だ。ヨシカは大人になった「イチ」に、初恋の追憶を期待していた。しかし、期待を欲するものは卑怯である。視野見もなりすましも卑怯だ。鍋パまでこぎつけたが、彼女の追憶は、反復ではなかった。中2の「イチ」を模した「天然王子」は、ヨシカの追憶の中で永遠に生きるだろう。だが、「天然王子」はみだらだ。すでに絶滅した動物をウィキペディアで懐かしむのも、みだらである。

 

「ニ」は、反復である。単純で、前向きで、自分本位な男である。クラブにもアニメイトにもドードー鳥にも無関心だ。彼は、昔の恋を追憶しない。彼は、愛を反復しようとしている。「ニ」は、この世界で、はじめてヨシカの希少価値を発見して、この絶滅危惧種の飼育員になってくれた。

 

プラトンは『追憶の恋のみが幸福な恋である』ともらした。

 

振り返れば、追憶の恋があり、前を向けば、反復の愛が迫ってくる。反復の愛を欲する者には、絶滅を怖れない勇気がある。ヨシカは女だ。反復を欲しない。勇気もない。彼女の初恋は、彼女自身の手によって絶滅しはじめている。そして、期待のない世界は危険だ。薄汚れた人間関係のせいで、人は邪悪になる。勇気のないものは、追憶の光を欲する。ヨシカにとっては、追憶の初恋のみが、幸福な恋である。反復の愛は、不幸のかたちをしている。なぜなら、愛は、この世界をもう一度、創造する苦痛を要求するから。反復は、神の仕業だ。勇気がなければ、この愛は強く育たない。絶滅した生き物は甦らないが、世界は何度も甦る。男がいなければ、女は、この世界を反復できない。霧島だけが、ヨシカを救える。この愛は、ふたりの生きる世界を甦らせる。それは奇跡だ。二度目の奇跡。「ニ」の反復。コンソメ風味の。

(おわり)

 

読書会のもようです。

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